大工が使う単純にして奥が深い工具。主に屋根部分に使用します。
建築では勾配(こうばい:かたむき)をタンジェント(学校で習ったものを思い出して)で
あらわします。
何度、何度と角度では表しません。角度より寸法で表したほうが作業がはかどるためと思われます。
5/10の勾配の時、母屋(屋根のしたの構造材)と母屋の水平中心間距離を
1000(ミリ:建築では通常ミリ単位で呼ぶ)とした場合計算では出ますが、
大工は通常差し金で Aの取り方をして寸法を出します。(図1)
さらに応用してとして隅木(すみぎ:やねのかどの部分)の勾配を出すときに(図2)
規矩の裏目(ルート目盛り)をつかって勾配を出します。
こうすると一度も角度定規を使わず迅速な作業が可能となり(図3)
むかしの人の知恵には驚かされる。ということで、規矩(さしがね、きく)は
勾配の寸法を計算しないでもわかるように出来ている、大工にとっては大変便利な工具です。
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図1──────────図2

Aの部分を規矩で寸法を出すことが出来ます
図3
規矩の裏目をつかうと隅木の部分の寸法を出すことが出来ます。
従って平面で母屋間が1000でAの部分が1118
Bの部分が1204と大工は計算しないで寸法を出すことが可能です。
これを利用して事前に野地を切っておき当該部分に当てはめることが出来ます。
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